廃校になった小学校の理科室を「完成しない」郷土資料室にリノベーション 舟坂展示室(西宮市旧船坂小学校)

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

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西宮市街から車で30分程走ると自然豊かな山間の集落「船坂」に到着します。

この船坂で、廃校となった小学校跡施設の一部をリノベーションして郷土資料室をつくるプロジェクト。

郷土資料室と言っても、民具展示や歴史を学ぶ一般的なものとは少し違います。

地域に住む人たち、かつて住んでいたけど今は出ていった人たち、あるいは豊かな自然環境を求めて最近移住してきた人たち。

皆さんが自分の体験や思い出を表現したり、聞いたことがある地域伝承を表現したりする、参加型の巨大な地域模型があったり、実際に使われていた民具を、そのもの固有のストーリーとともに展示する一品展示室があったり。

どちらかというと、地域のかたがたの生活史や家族史をアーカイブ、あるいは伝わる形に表現して、地域の皆さんとともにつくリ続ける「完成しない郷土資料室」です。

すごく個人的な記憶や思いから構成されるコンテンツが主ですが、実際にできてきた模型を前に、皆さんの中で爆発する場所の記憶や伝承を聞いていると、とにかくおもしろいんです!

「船坂」という名前の由来、山の頂上でこんなことしたなー、大雨のとき川が氾濫して家が流されかけた、
などなどの話が出てきていましたが、きっともっといろんな方がかかわってくれば、ここであの子に告白した、この川でおぼれかけて近所の兄ちゃんに助けられた、実はここで河童を見た人がいる…とか、いろんな思い出や伝承が出てくるんじゃないかなーと思います。

展示室のオープン前にはこの模型を使った「船坂の記憶を集めよう!」というワークショップを行って、重要な展示の一部としてみなさんの記憶を表現した模型展示を行っています。
その時の様子はコチラ

ぜひぜひ現地にも足をお運びいただければと思います。
美味しい山のパン屋さんや、草屋根のカフェ、かやぶき古民家の集落など、船坂にはたくさんの見所があります。

展示室のメイキング、PRのための動画も作ってくださっています。

どんな雰囲気の場所なのか、イメージが良く伝わりますのでよろしければご覧くださいね↓

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