DIYは「私にもできるんだ!」っていう新しい発見をくれます。 水道筋Y邸 與田千尋さん

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

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與田(よだ)千尋さんは、ライフスタイルの変化により引っ越しを考える中で、神戸にあるご実家をリノベーションして旦那様と一緒に住むことを決めます。

ご実家は、築41年になる4階建ての建物。23階で與田さんのご両親が暮らしており、以前は耳鼻科であった1階と4階は手を付けられておらず昔のままの状態でした。

リノベーションにあたって、與田さんは「できるだけ自分たちの手を動かして住む家を作りたい」と、DIYに挑戦。メキメキ腕を上げ、今では何でも自分で作ってしまうほどDIYに目覚めた與田さんに、家づくりのエピソードとDIYの醍醐味を伺いました。

小畦:與田さんとは、NPO法人ソーシェアが運営している、神戸・元町のカフェTuKuRuで開かれたイベントで出会いました。それから、何度か顔を合わせる機会もあって、リノベーションのご相談をいただいたんですよね。

與田さん:小畦さんが一級建築士で、DIYをいろいろお手伝いされてるのは知っていました。実家をリノベーションするにあたって、夫と私は「できるだけ自分たちの手を動かしながら改装したい」という気持ちがあったので、スタンスもピッタリだなと思ってすぐに相談しました。

小畦:相談をいただいて、内覧とヒアリングに行き、設計図を作って、スケジュールを提示して、、、という一連の行程がすんなり行き過ぎて僕が不安だったくらいです。他に相談しなくていいの?って(笑)

 

施工者・設計者・施主3者での打合せ

 

與田さん:私たちは、「耳鼻科時代から残っている、待合室と診察室を区切っている壁をぶち抜きたい」とか「こんな床にしたい」といった構造のイメージはあったんですが、どんな雰囲気の空間にしたいのかといった完成イメージが漠然としていたんです。ある程度人となりを知ってくれている小畦さんになら、このあたりもひっくるめて相談できると思いました。

小畦:與田さんとはお会いしてお話したこともあったので、おそらくこんな雰囲気が好きだろうなあという予想はできました。普段、はじめましてのお客様でお家のイメージがまだ持てていない方には、「好きな写真を集めてください」とお願いしています。必ずしも、空間やお家の写真じゃなくてもよくて、好きなものや好きな風景の写真でもいいんです。できるだけたくさん持って来てもらって、好きなものについて話してもらうと、施主さんの好みの空間がイメージできるようになります。

 

「この景色がどう変わるのかな」とワクワクです

 

小畦:家づくりの過程で行った、DIYパーティーは楽しかったですね。

與田さん:最初、小畦さんから「DIYパーティーしましょう」って提案をいただいたときは、「楽しそうだけど人は集まるの」って半信半疑でした(笑)たしかにみんなで壁塗りなんかをするイベントはあるけれど、それってお店とか団地とか、「みんなが使う場所をみんなで作ろう」っていうのが前提じゃないですか。だから、個人の家の手伝いに誰か来てくれるのかなって不安だったんですけど、募集をするとたくさんの方が来てくれました。

小畦:3日間に分けてペンキ塗りや床張りをしたけれど、3回とも見事に全然違うメンバーが揃いましたよね。それぞれが「珪藻土塗りやりたい!」とか「床張りならできる!」って立候補してくれて。

 

おしゃべりしながらのランチ♪

 

與田さん:パーティー当日ももちろん楽しかったんですが、ずっと楽しめてますよ。今もふと家の壁を見渡して、ああここはあの人が塗ったから粗いけど味があるなあとか(笑)、ここはプロ並みにうまいなあって思えるんです。

小畦:粗っぽい部分は味として楽しめますよね。

與田さん:そうそう、愛着が湧きます。そのときの状況や手伝ってくれた友人の性格をしみじみと思い出して。家の端々から、関わってくれた人の姿を感じられます。

 

元執務スペースのくつろぎスペース

 

小畦:與田さんはメキメキ腕を上げられて、4階はご自身でリノベーションされました。

與田さん:本当は1階と4階をお願いしたかったのですが、予算的に両方頼むのは難しくて。どうしようって悩んでいたんですが、「1階のノウハウを活かして自分たちでやってみよう」と思えました。和室を洋室に変えたんですが、初めてのことばかりで最初は戸惑いっぱなし。でも、小畦さんに相談したり、1階の床板を用意してくれた方に床材の相場を聞いたり、1階を手伝ってくれた工務店の方にお願いして協力してもらいながら、どうにか自分たちの手でリノベーションすることができました(笑)

小畦:與田さんは自分の中で考えを持った上で、「この方法で進めていって大丈夫ですか?」とか「より効率良くできる方法はありますか?」って聞いてくれたので、周りも答えやすいし協力しやすかったと思います。

與田さん:今はネットで調べれば情報を得ることはできるんですが、イチから自分で基礎を学ぶとかなり時間が掛かってしまうじゃないですか。今回のリノベーションで、困ったときに相談できる専門家の方にたくさん出会えてよかったです。

 

完成後はゆっくりおいしいコーヒーをごちそうになりました

 

小畦:DIYしてみて意識が変わったこととかってありますか ?

與田さん:不便とか何か足りないってなったときに、直してもらおうとか買おうじゃなくて自分で直そう、作ろうって発想になりました(笑)今は使っていない大きなタンクがあったスペースを改装して倉庫にしたり、収納スペースとして玄関に大きな棚を作ったり(笑)

小畦: DIYする過程で、それぞれの家具やスペースがどんな材料によって成り立っているのか、どうすれば作ることができるのかといった見方ができるようになると、ものづくりのハードルがぐっと下がりますよね。「板と脚くっつけたら机作れるやん!」ってシンプルに考えられるというか(笑)

與田さん:DIYパーティーのときに、小畦さんが参加者の方のためにいろいろ解説してくれたじゃないですか。道具や塗料の性質について説明してくれたり、11つの行程や作業を行う理由を教えてくださったり。それを、ふむふむ、今後に活かせるぞと思いながら聞いていました。

小畦:そうなんですか!僕は、パーティーに来てくれた参加者の方向けにこれまで話してました。ほら、来てくれる人って単なるお手伝いとしてでなく、自分もDIYについて知りたいな、やってみたいなって思って来られることが多いから、少しでも彼らの役に立てればと思って。まさか與田さんもその話を聞いて学んでくれてたとは、、、うれしいです(笑)

與田さん:DIYは、「私にもできるんだ!」っていう新しい発見をくれます。完成した後は、達成感や満足感で満たされますし。だから、やってもらって「はいどうぞ」って差し出されるより、思い入れが持てるんです。

小畦:家づくりのプロセスそのものが楽しくなるでしょう。

 

自分で大きさも整えます

 

與田さん:本当に。あとは、作業していく中でだんだん上達していくのもおもしろかったです。

小畦:與田さんもそうですけど、もともと器用でものづくりが好きな人も、お家の設計や工事を始める際には、基本的なことをすごく不安そうに聞いてこられるんです。でも、お家のリノベーションが終わった頃には、もう何でも自分で作ることができるようになってる(笑)お家のリノベーションやDIYのサポートを通して、施主さんの背中を少し押すことができていたらいいなあと思います。

與田さんのお宅のリノベーションの様子はコチラ

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