住まいづくりを楽しむためのコツ vol.2 ゆっくりつくる。

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

このライターの記事一覧

住まいづくりを楽しむためのコツ 2回目です。

1.無理しない
2.ゆっくりつくる
3.自分でつくる
4.現場を楽しむ
5.できた後も楽しむ
6.夢をみる

6つのコツのうち今日は2つめ。

 

2.ゆっくりつくる

住まいを新築したり、リノベーションしようと考えたとき、
「工事をするなんて大変なことは何度もできない」
とか
「今考えつくしてつくりきってしまわないと後が大変だ!」
なんて考えてしまいがちのように思います。

でもほんとは、その時々の暮らしの状況に応じて、数年ごとに必要となるモノやスペースはどんどん変化していくはずです。

最初は夫婦二人からはじまった家族の物語は、子どもが産まれればその子のためにベッドを置いたり、よちよち歩き出したら危険がないように角という角を保護したり、台所に入っても危険がないようにしたり、はたまたおもちゃ置き場や滑り台なんかを置く場所が必要になり、そのうち個室がいるのかなーと悩んだり、そうこうしてるうちに親はサポートが必要になり、田舎と今住んでる場所を行ったり来たりしつつ、受け入れ態勢を整えたり。

その都度住まいを変えていけるほどの経済的余裕を持てるようにがんばるか、もしくは仮住まい状態で身軽にしておく、という考え方もあります。

でも、一方で、

「どんどん自分でカスタマイズしていく!」

って考え方がもっとあっていいと思うのです。

私たちの自宅は、引っ越した当初は何もないがらんどうの空間でした。
お金がなかったのもありますし、夫婦二人だったのでモノもそれほど必要なく、ダイニングテーブルとステレオとテレビがあればよかった。
そんなミニマルな状態を楽しんでいた部分もあります。

ですが9年ほどかけて、現在のように、モノや本があふれ、それを住まいの中におさめながら、
棚を増やしたり、黒板壁を作ってみたり、でっかいダイニングテーブルを創ってみたり、家族写真も飾ろうかと額縁を創ってみたり。

ゆっくりとつくっています。
(自邸のプロセスの一つはコチラ

その都度「必要かな」と思ったり、「今だったらこんな風にしたら楽しいね」という思い付きを受け入れていく余白を、金銭的にも精神的にもスペース的にも残しながら、つくり続けていく。
今、この時が完成じゃなくて、ずっと、自分や家族が快適に、楽しく暮らせるようにちょっとづつ手を入れ続けていくのです。

「完成なんてしない」

と割り切るのも住まいづくりを楽しんでいくためのコツだと考えています。

そして、そんな完成しない住まいづくりのプロセスを、「プロとしての知識と技術で楽しくサポートする」。
そんなお仕事をすることが私たちのミッションだと考えて、いろいろなサービスを設定しています。

次回は3つ目。

「自分でつくる」です。

お楽しみにー。

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