住まいのイロハ vol.03 たくさん歩くと見えてくるマチの「カオ」があります。

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

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住まいづくりを考える時にぜひ一緒に考えてみていただきたいのが、

「あなたが住みたいマチはどんなマチか?」

ということです。

ついつい、駅から近ければいい、とか、治安が良ければ、とか、広い土地が手に入れば、と条件で考えがちです。
でも、あなたが求めてる暮らしができる場所はほんとにそんな場所ですか?

例えば神戸で言えば長田のように、ご近所付き合いのあるようなコミュニティのつながりが深い活気のあるシタマチのほうがしっくり楽しく暮らせるかもしれない。

例えば神戸で言えば塩屋のように、狭い路地と坂が多くて再建築できない建物がたくさんあるけど眺めが抜群でアーティストが好んで住むような文化の香りがするマチのほうが落ち着いて暮らせるかもしれない。

資産価値や駅からの徒歩時間、一般的にイメージされる治安や災害に対する安全性ももちろん大切ですが、そういったわかりやすい指標は価格とトレードオフの関係にあるので、数値やイメージだけを追ってしまうと、見れば見るほど混乱して不安になったり楽しいイメージが描けなくなり、どんどん住まいづくりが遠ざかってしまいます。

すべてが満たされる一点限りの掘り出し物はそうそう手に入るものではないし、そういった物件は人気も高く価格が高騰しがちです。

だからこそ「暮らしの舞台として、そのマチが気に入っているか」がとても重要なのです。

マチにはそれぞれに先ほど例に出したような「カオ」があります。
「カオ」はそのマチをたくさん歩いているとだんだんと見えてきます。

言われてるほどうるさいところじゃないな、とか、
さびれてるけど風情があっていいじゃん、とか、
一個一個の土地は狭いけどめっちゃ風通しいいな、とか。

その雰囲気が気に入るかどうか。
気に入ってしまえば、ひとつひとつの物件のデメリットはそこまで気になる要素ではなくなります。
腰を据えて物件探しもできますし、たくさん歩いたりマチに出入りしているうちに顔見知りも増えちゃうかも。笑
好きなマチがある程度はっきりしてくれば、条件に踊らされず、探し方にも方向性が出てきますし、不動産屋からしてもエリアの提案がしやすくなるはずです。

煮詰まったり、これからどうやっておうち決めようかなと思っている方は、そんな観点でマチを見てみるとヒントがあるかもしれません。

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