住まいのイロハ vol.06 新築とリノベ どちらがよいかどうやって決めるの?その2

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

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さてさて。
前回から始まりました「新築とリノベどっちがいいの?」問題をメリットデメリットではなく、お客さんのモノの考え方との相性で見てみようという連載。
 
だって大事なのは自分にとってどっちが満足度高いのかですもんね
フラットに損得だけでは測れない部分が必ずあります。

設計者としてお客さんといろいろなお話をしている中で、「この人はリノベが合いそう」「この人は新築が合いそう」と感じる方が実際にいて、それぞれにやっぱりそういう方向で自然に話が進んでいったな、という実感があります。

どうも人それぞれの「考え方の傾向」みたいなものから「どちらがその方にあっているか」というのが読み取れるんじゃないかな、と気づいたことがあって。

じゃ、ためしに整理してみよう、と考え始めたこの企画です。 
 
前回整理してみたのは、
 
1.「計画性を重視する」か「柔軟性を重視する」か
2.「節目を大切にする」か「日常を大切にする」か
3.「とことんこだわる」か「切り替えが早い」か
4.「新製品が好き」か「古いものが好き」か
5.「中古品の売り買いをそんなにしていない」か「中古品の売り買いをよくしている」か
6.「全力を尽くす」か「余力を残す」か
7.「気に入るようにがんばりたい」か「楽になるようにがんばりたい」か
8.「確実性が好き」か「即興性が好き」か
9.「頭を使うことが好き」か「体を使うことが好き」か
10.「安心することが好き」か「楽しむことが好き」か 
 
この10個。
1個1個紐解いていけば、考え方の傾向からどちらが向いているかがわかりそうです。
 
今回は
 

1.「計画性を重視する」か「柔軟性を重視する」か
3.「とことんこだわる」か「切り替えが早い」か
7.「気に入るようにがんばりたい」か「楽になるようにがんばりたい」か

について書いてみたいと思います。
 
中古の場合は間取りの変更や使い勝手の変更も、既存部分の法的制約、構造的制約、コストの制約によってできることとできないことがどうしても出てきます。
その「できない」部分をどうとらえるかによってリノベーション向きか新築向きかが分かれてくると思います。 
 
 

1.「計画性を重視する」か「柔軟性を重視する」か

計画性を重視する人は「あらかじめいろいろなことを決めておきたい」ので、古いものを可能な範囲で変更することでは希望がかなえられない場合があり、新築のほうが満足度が高くなる可能性が高いです。
広さ、部屋数、キッチンやお風呂の設備の位置やグレード、間取り、それぞれに明確にかなえておきたいコトがあると、よほど可変性の高い、あるいは、まどりに支障がない中古物件に出会えないと改修に費用が掛かりすぎるため、新築に踏み切ったほうが、コストに対する満足度が高くなります。

柔軟性を重視する人は「将来にあいまいな部分を残しておきたい」ので、臨機応変に自分の希望を現状に合わせてアジャストすることに慣れています。中古であるがゆえにかなえられないことがあっても、だからコストが安いから満足、とか、コスト抑えられるから内装はとても自由にできる、とか、良いところを見つけられるのでリノベーションで住まいを得たほうが満足度が高くなります。


 
3.「とことんこだわる」か「切り替えが早い」か
 
なんにでもとことんこだわるタイプの方はモノづくりに対するこだわりも強い方が多く、絵を描かれたり、無垢の木材や素材など上質なものが好きだったりと、モノづくりそのものを愛している方が多いように感じます。
なので、使う素材や間取り、照明の雰囲気や設備の性能などなど、細部まで「気に入るようにしたい」という気持ちが強く、素材選定や間取りもゼロから追及していく「新築」のほうが満足度が高くなります。
 
切り替えが早いタイプの方は、 現状を追って認識しながら、状況に合わせてよりよい方法を探していくため、すでにあるモノ、コト、環境をどう活かすか、に関心が高い方が多いように感じます。
なので、あらかじめモノがあり、すでに一定の環境があって、それをカスタマイズし編集しながら創造していく「リノベーション」のほうが満足度が高くなります。
 

7.「気に入るようにがんばりたい」か「楽になるようにがんばりたい」か 
 
「気に入るようにがんばりたい人」はこだわりが強い人なので、3.と同じ理由で「新築」のほうが満足度が高くなります。
 
「楽になるようにがんばりたい人」は、モノへのこだわりよりも、どうすれば経済的にも体力的にも無理なく希望がかなえられるかを優先して考える傾向にあります。ローンを組むにしても最初の設定を、20年や15年で返しきれる額に設定し、繰り上げ返済で早期にローンを完済して、もう一度中古購入+リノベを選択肢に入れつつ、将来の家族の変化、状況の変化に対応することを考えます。 なので「リノベーション」があっていると考えられます。
 
 
ということでいかがでしたか?
お題を先にかかげてしまったので内容がまとまらないんじゃないかなーと思いつつ、冷や汗も文章もかいてます。笑
 
続きもお楽しみに―。
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