住まいのイロハ vol.07 新築とリノベ どちらがよいかどうやって決めるの?その3

小畦 雅史

小畦 雅史

施主に寄り添うスタイルでお仕事をしている建築家です。既存の建物のリノベーションなどの再活用を得意としています。 自分たちでつくるDIYの手法を組み入れ、家づくりを住み手に近づけようとする試みも進めています。

このライターの記事一覧

今回で3回目です。
「新築とリノベどっちがいいの?」問題をメリットデメリットではなく、お客さんのモノの考え方との相性で見てみようという連載。
 
第1回目で整理してみたのは、
 
1.「計画性を重視する」か「柔軟性を重視する」か
2.「節目を大切にする」か「日常を大切にする」か
3.「とことんこだわる」か「切り替えが早い」か
4.「新製品が好き」か「古いものが好き」か
5.「中古品の売り買いをそんなにしていない」か「中古品の売り買いをよくしている」か
6.「全力を尽くす」か「余力を残す」か
7.「気に入るようにがんばりたい」か「楽になるようにがんばりたい」か

8.「確実性が好き」か「即興性が好き」か
9.「頭を使うことが好き」か「体を使うことが好き」か
10.「安心することが好き」か「楽しむことが好き」か
 
 
この10個。
1個1個紐解いていけば、考え方の傾向からどちらが向いているかがわかりそうです。
 
これまで、
の3つの解説が終わりました。
 
1.「計画性を重視する」か「柔軟性を重視する」か
3.「とことんこだわる」か「切り替えが早い」か
7.「気に入るようにがんばりたい」か「楽になるようにがんばりたい」か
 
今回は下の3つですー。
 
2.「節目を大切にする」か「日常を大切にする」か
4.「新製品が好き」か「古いものが好き」か
7.「中古品の売り買いをそんなにしていない」か「中古品の売り買いをよくしている」か
 
中古の場合、古いものを活用することが前提なので、すべてが新しくなることはないですし、前に過ごしていた人の気配は残ります。そして、そういう暮らしの跡を味として上手にデザインに活かすことができれば、それがリノベーションの価値や醍醐味にもなってきます。
 
「古い」ということをどうとらえるか。
 

そのあたりの考え方がこの3つには表れてるんじゃないかと思います。

 

2.「節目を大切にする」か「日常を大切にする」か

「節目を大切にする」人は、進学や、転職、引っ越しなどの切り替わりを大切に扱う人です。
なので住まいを新しくする機会に対し「せっかく住まいを変えるんだったら、望んでいることはできるだけ多くかなえたいし、新しいもので、すがすがしく転機を迎えたい」と感じています。なので「新築」の方により魅力や価値を感じるはずです。
 
「新しく建てなおす」という節目をつくる建築行為は伊勢神宮の式年遷宮などにも見られるように、ずーっと昔から神聖な行為です。そのことが、今の私たちの住宅観にも大きな影響を与えていて、新築を選択する人が多いのではないかと想像してみたり。 

「日常を大切にする」人は、住まいを新しくする機会を特別視せず「今の暮らしの延長線上にある」と認識します。なので、その瞬間により多くのことが満足できていることを重要視せず、過ごしてきた時間に強い愛着があるために、古さや使用感・汚れに愛着を持ちやすい傾向にあります。つまり、「リノベーション」に魅力や価値を感じます。
 

4.「新製品が好き」か「古いものが好き」か 

「そのまんまやん」と思うかもしれませんが。笑
 
「新製品が好き」な方は、設備品や建材なども、汚れが付きにくかったり、今までなかったような性能を持つ建材を使うことが好きなのでデザイン的にも性能的にも「新築」との親和性が高くなります。
 
「古いものが好き」な方はいろいろな「モノ」のフォルムや素材感から受ける、時間を感じさせるイメージや不便さの面白さを見ています。なので、機能性や傷・汚れの付きにくさなどをそこまで気にしないので、リノベーションと相性が良いのです。
 

5.「中古品の売り買いをそんなにしていない」か「中古品の売り買いをよくしている」か 

これもそのまんまやん。笑
読んで字のごとくですが、ちょっと解説してみますね。
 
「中古品の売り買いをそんなにしていない」人は、「他人が使っていた」ということに否定的な思いを強くもっているというよりは、中古品に対してどう感じるかという感想をそもそもあまり持っていないのではないかと思います。かろうじて、「買う」という行為に関しては古着を「買う」、ビンテージ品を「買う」などのイメージは持てると思いますが「売る」ことに対してはきっとそこまで積極的ではないと思います。なので「中古住宅の売買」よりも「新築」のほうがしっくりくる選択になります。
 
ポイントは「売る」という行為をこまめにする人かどうかです。
 
「中古品の売り買いをよくしている」特に「売る」をよくする人は、「自分が使っていた」ということも、モノの価値を損なうことにはなっていないと考えています。使えるものは「誰にでも」使ってもらったらいいし、使えるものは「誰からでも」使わせてもらえばいい。そんな考え方を持っているので、「誰かが住んでたおうち」を「リノベーション」によって自分の住まいにすることでも満足が得られる可能性が高いです。
 
ということでいかがでしたか?
 
何かのヒントになれば幸いですー♪
 
次回もお楽しみに―。
top

実績カテゴリー

読み物カテゴリー